こんにちは!
動物病院勤務(VT)のSHIZUKOです。
猫にも認知症があるって知ってましたか?
高齢になったらいろいろあるのは
仕方ないんじゃないの?
ただの「老い」ではなく「認知症」は
早期から対処すれば進行を遅らせることができます。
我が家の猫たちもだんだん高齢化してきて、認知症を発症している子がいます。
今回は
- 猫の認知症ってどんな症状?
- 家でできる認知症対策
について解説します。
猫の認知症とは?
正式には認知機能不全症候群と言います。以前は痴呆(ちほう)症とも言われていました。
老化に関連した症候群で進行性があり、認知力の異常、刺激への反応低下、学習・記憶の欠損などがあります。
以前に参加した、猫の認知症に関する入交眞先生のセミナーでは、
犬 11〜12才⇒28%、15〜16才⇒68%
猫 11〜14才⇒30%、15才以上⇒50% がすでに認知症の何らかの症状が発現しているとお話しされていました。
わたしの中では猫より犬の方が認知症は多いのかな?というイメージでしたが、猫さんも15才以上では2匹に1匹は認知症ということになります。
ただし『認知症』であるにもかかわらず、
「年だから仕方ないね」ときちんと診断できていないケースも多いので、
日頃の行動変化の様子はこまめにチェックしましょう。
猫の認知症チェック
猫の認知症チェックリスト
- 部屋の出入り口を間違えることがある
- 飼い主に甘えなくなった
- 家族がわからなくなることがある
- 呼びかけても反応が薄い
- 寝る時間が増え、活動する時間が短くなった
- 昼間は寝て、夜は起きていることが多い
- 理由もなく大声で鳴くことがある
- トイレを失敗することがある
- 急に攻撃的になることがある
- 若い頃と比べて性格が変わった
- おもちゃに興味を示さなくなった
- あまり毛づくろいしなくなった
猫の認知症 5つの分類
猫の認知症は5つの兆候に分類されます。
上記のチェックリストで見た項目がどれに当てはまるのか、みてみましょう。
見当識障害
見当識障害は「時間」「場所」「人」などがわからなくなることです。
①部屋の出入り口がわからなくなる
③家族がわからなくなることがある
④呼びかけても反応が薄い
⑥昼間は寝て、夜は起きていることが多い
この他にも部屋の中をわけもなくグルグルと歩き回ることがあります。
他者との関わり合いの変化
②家族に甘えなくなった
⑨急に攻撃的になることがある
人に対してだけではなく、他の動物に対しての態度も変わってしまうことがあります。
睡眠と行動の変化
⑤寝る時間が増え、活動する時間が短くなった
⑥昼間は寝て、夜は起きていることが多い
⑦理由もなく大声で鳴くことがある
睡眠時間が増えたり、活動時間が昼夜逆転することがあります。
大声で鳴くときは認知症と合わせて聴力の低下があるかもしれません。
トイレなどの学習を忘れる
⑧トイレを失敗することがある
トイレの失敗は認知症だけではなく、
「関節などに痛みがあり、動くのが億劫」
「膀胱炎など泌尿器系の病気がある」
など、他の病気が隠れていることもあるので早めに動物病院を受診しましょう。
活動性の変化
⑪おもちゃに興味を示さなくなった
⑫あまり毛づくろいをしなくなった
活動性の変化は体調変化の現れです。
認知症だけでなく、どこか体調がすぐれない場合にも見られますので要注意です。
猫の認知症はどうやって診断するの?
動物病院では質問表を活用し、飼い主さんから丁寧に問診をおこない診断します。
本来は神経学的検査やMRIなどを撮って脳の状態を確認することが必要ですが、
高齢の猫さんにはあまり現実的ではありません。
高齢期には認知症以外の病気が潜んでいることも多いので、必要に応じて血液検査やレントゲン検査なども行います。
ですが重要なのは、飼い主さんからの日頃の何気ない情報です。
猫さんは話すことができませんから、飼い主さんからの情報だけが頼りです。
「うちの子もう年だから仕方ないよね。」と決めつけず、日頃の些細な変化も獣医さんに伝えましょう。
家でできる猫の認知症対策
まずは猫に優しい生活環境を整えましょう。
これは高齢でなくても、猫さんと暮らすにはすべて実践したいですね。
トイレ
トイレへは行きやすいことが基本です。
障害物は少なく、夜中も真っ暗にせず、フットライトなどで視認性をアップすると良いでしょう。
トイレの入り口にスロープを設置するのもおすすめです。
足腰が弱った猫さんはトイレの段差をまたぐことが難しくなることもあります。
食事
食器は高くして食べやすいようにしましょう。
床さ滑りにくくして、食事中に踏ん張れるようにするのも忘れずに!
寝床
ぐっすりと眠れる工夫をしましょう。
素材・場所・光・音・温度がポイントです。
猫さんは体重が比較的軽く褥瘡(床ずれ)はできにくいですが、睡眠時間が長くなっても負担がかからないような体圧が分散されるベッドがおすすめ。
適度な刺激で脳を活性化
適度な運動は脳への血流もアップして、脳を活性化させます。
犬の場合ですが、1日に30分以上散歩している犬は 散歩が少ない犬と比べて、認知症の進行が少ないという研究結果もあります。
猫さんは散歩はできませんが、おもちゃで運動を促してみましょう。
外に行けなくても陽が当たる窓辺での日光浴もおすすめ。
体がポカポカするだけではなく、体内のリズムが整えられ生活が昼夜逆転することを防ぐはたらきもあります。
知育玩具のような考えながら遊べるおもちゃは、猫さんに良い刺激になります。
手軽に自作できるおもちゃもおすすめです
猫に不安を与えない
猫さんを叱らないのは基本中の基本。
トイレを失敗しても、夜中に鳴き叫んでも、決して叱らないでください。
不安なことがあると、脳にストレスを与えてしまい認知症が進行することがあります。
例えば、家具の配置換えや引越しも猫さんにとっては大きなストレスになります。
どうしてもストレスが避けられない場合は、ストレス軽減作用のあるフェロモン剤(フェリウェイ)やジルケーンなどのサプリメントを使用すると良いでしょう。
※正しい使用方法は動物病院で指導を受けましょう
抗酸化成分の摂取
抗酸化成分は酸化ストレス(フリーラジカル)から脳の神経細胞を守る働きがあります。
ヒルズ アクティブシニアは抗酸化成分が強化されていて、遺伝子栄養学をもとに栄養素が配合されています。
「シニアになってもアクティブな生活が送れるように」という意味でネーミングされたフードです。
他にも
- アクティベート
- アンチノール
- フェルガード
- メイベットDC
などのサプリメントがありますが、与える際は主治医の獣医さんに相談しましょう。
猫の認知症まとめ
- 猫の認知症の早期発見のために、日頃の様子をよく観察しよう
これって年のせいかな?疑問があれば迷わず動物病院で相談しましょう。 - 15才以上の猫の1/2は認知症
うちの子はまだ大丈夫!ではなく、早期から将来に備えた対策を。 - 猫に優しい環境を整えよう
ストレスは脳にも悪影響。快適な暮らしにはトイレ・食事・寝床の整備は必須。 - 適度な刺激で脳を活性化
適度な運動や知育玩具で脳にも刺激が大切です。
気になることがあれば、まずは動物病院で相談を!
最後までお読みいただきありがとうございました。
認知症になったってヨボヨボのお爺さんになったって我が子はカワイイ♪
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